新宿・新大久保おかあさん

私は美容院というものに生まれてこのかた行ったことが無い。理髪店、昔ながらの言い方で言えば散髪屋さん1本だ。

40くらいまでは、とにかく安くてそんなに雑な扱いをされなければどこでも良い、という考えでお店を選んでいた。40過ぎて多少人と会う機会が増えてきてからは、ちょっとお店を選ぶようになり、今では毎月1回の理髪店が楽しみになりつつある。

そうなったのは今行っている理髪店がきっかけだ。ちょっと広めの店内に間仕切りをしたブースがあり、他の人の目を気にせずゆっくりとした時間を過ごせる。いつも指名している担当者は30代2児のパパ。そんなにとってつけたような愛想をふりまけるような人ではないが、いつもだいたい私の思った通りに切ってくれる、真面目で丁寧な人だ。他の理髪店と同じく上半身の簡単なマッサージはもちろん、ヘッドスパとフェイシャルもある。

一般の理髪店にくらべると1000円ちょっと高いのだが、月に1回のことだと思うと、これだけ技術とサービスに満足できれば決して高いとは思わないし、なによりもうこちらから毎月お願いしたい、と心が言っている。

髪を切ってもらいながらときどき考えることがある。人の髪を切るサービス、というのはこれから先もずっと必要とされるサービスのひとつに間違い無いので、理髪店という職種が無くなることはまずないだろう。が、デリヘルという職種はどうか。20年ほど前の店舗型が、法改正とネット環境、携帯端末の発達によってデリヘルに取って代わられつつあるように、今後デリヘルがまた別の形態に取って変わられる可能性は充分考えられるだろう。

では、今後どう考えて今のこの仕事をしていくのか。それは今の仕事に対し目先のことだけでなく、少しでも視線を前に向けて必死でやっていけば、おのずとすべきことが見つけられるのではないだろうか。

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