新宿・新大久保おかあさん

古書店勤務15年のうち10年以上は女性向け同人誌を扱って仕事をしていた。

90年代半ばから台頭し始めたブックオフの影響で、軒並み知り合いの古書店が経営悪化にあえぐ中、生き残りをかけた社長が「ヨシ、それならばブックオフが扱っていない本を扱おう！」と考えに考えて女性向け同人誌を選んだのだ。今思えば、それまではコミックやCD、映画パンフなどに命をかけて商売していた人が、一切興味もない本を、いくら商売の為とはいえ選択できたことは尊敬に値する。今の私で言えば、熟女からJKへの転換以上に難しい選択だったろう。

当時はまだBLという言葉も無く、せいぜい「やおい」という言葉があった程度。もちろん腐女子などという単語も無い。社長含め男性スタッフみんなでジャンルや作家の名前、カップリングを覚えたのだが、結局残ったのは社長と私だけになり、ほかのスタッフは全員が同人好きな女性スタッフとなった。

初めてその同人誌を見たのは2000年頃だったか。コピックで描いたと思われる水彩色の男性キャラが表紙の、真っ白な薄いA5本。コマの中の多めの空白と手書きの吹き出しに独特の世界観があるその女性向け同人誌を読んだ時、初めてBLコミックの奥深さを知った。同じシリーズの薄い本をまとめた総集編にはプレミアが付いていて、1冊3000～5000円はしたのだが、入荷したら飛ぶように売れていた。高かったが、初めて私は自腹で女性向け同人誌を買った。

その作家、よしながふみの作品とオノナツメ（basso)の作品だけは今でも新刊を買う。今回の大奥13巻は、珍しくすぐ買わずに書店でずっと眺め続けるおあずけの気分をしばらく楽しんでみて今日やっと買った。乱読していた若いころには持っていなかった、大事な作品をじっくりと読む時間というものを今は楽しんでいる。

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巷では福山ショックがどうこう言っているがそんなことはさておき。一昨日、久しぶりにギターの弦を購入し張り替えた。

下手の横好きで20代後半からチョビチョビと弾き始めたは良いが、一向に上達せず。結局好きな曲を適当に爪弾く程度で「ギター弾けます」などとは間違っても言えないのだが、それでもやっぱり自分で音を出すだけでも面白い。

ギターもゴルフと近いモノがある気がしている。ハナからセンスが無い私は、ひたすら反復練習を繰り返し、自然と体が動くよう努力するしかない。で、ちょっとだけ上手くなった気がする時があるだけで嬉しくなり、なんとか継続していけるものだ。

好きなギタリストはラリーカールトンとウェスモンゴメリーの二人。若い頃、BBCのモノクロ映像のウェスのライヴビデオと、ラリーのアルバム「ルーム335」は宝物だった。いつかは思うがままにギターを歌わせてみるのが夢だがいつになることやら。。

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