新宿・新大久保おかあさん

父の日。

幼少の頃から父と会話すらしたことがないほど敵対していた私は父の日に一切何もしたことが無かったです。
18で実家を出るまで、家に居るときは家族と距離を取るため常に好きな読書に逃げ込むか、夕飯もそこそこに済ませると勉強部屋に閉じこもるか。。そんな時は食卓から酔った父が私に向かって怒鳴るのでよく大喧嘩をしていました。
ま、誰しも10代の頃には多かれ少なかれ親とスキマができるのものですが私はそのまま40過ぎて家庭を持つまでかたくなに父とは距離を取ったままでした。

親に対して本当の意味で「感謝」を感じたのはやっぱり子供が出来てからです。
親がしっかり見ていないとあっという間に命を失う可能性がある乳児を手に抱いていると、こうして自分も両親に守られていたからこそ今五体満足で生きていられるのだ、と自然に実感できました。ま、そのことについてはほとんどが母に対する感謝の念なのですが、赤子だった私を抱いていた父の写っている昔の写真を思い出してみるとやっぱり父にも守られていたのだと思いました。

私が父の日に初めて感謝の意を込めてプレゼントしたのは41歳の時。
あれほど嫌いだった父なのに、気が付けば全く同じように仕事の憂さ晴らしに飲む打つ買うをしている中年の自分になってみて初めて子供の為に何があっても休まず一つの職場に定年まで通い続けた父の凄さに気づいたのです。要するに「父」から同じ「一人の男」として精神的に対峙できたということでしょう。

殴り合いの喧嘩をしていた父ももうすっかり老人。
浴びるように飲んでいた父も今では一日一杯のコップ酒をおふくろの手料理をつまみに飲むのが楽しみだとか。足腰がしっかりしているウチに一度は2人だけでゴルフに行こうと思っています。