毎日ミシェル・ルグランのCDに合わせてジムノペディを練習。時々ピッタリと合って一人悦に入っている今日この頃だが、そんなことはさておき。
昨日は久しぶりに完全オフをもらい1日をゆっくりと過ごした。午後からは仕事用の靴を見に東武に出かけ、ついでに6Fギャラリーの古美術展も堪能してきた。
若い頃は古美術なんて興味もなかったのだが、これはやっぱり歳のせいなのだろうか。日本だけでなく中国のものも数多く展示されており、数百年前の職人の作品が現在もこうして眼前にあることに素直な感動を覚えつつ全てを見て回った。
と、その中の1品に「旧蔵 黒澤明・早坂文雄」の字を見つけた。黒い擦れのある赤いお盆。室町時代のものだったハズ。私の目が思わず止まったのは、そこでは無く、黒澤監督と早坂さんが並んで書いてあることにだった。
早坂文雄は「酔いどれ天使」以降、昭和20年代黒澤作品の音楽を担当した人だ。かの「七人の侍」の音楽もこの人の作品。私が黒澤全作品を体系的に勉強したのは、90年に出た西村雄一郎「黒澤明・音と映像」によってだったので、早坂文雄が如何に黒澤監督にとって大事な人だったか、を良く知っている。
映画の中で使用する品にも徹底的にこだわった黒澤監督。このお盆も監督の趣味だったのだろう。旧蔵というが、早坂さんの後に黒澤さんに行ったのか(早坂さんは早逝されているので逆はあり得ない)、それともご遺族が所有権を…いやそんなことはどうでも良くて、ただ仲良くこの二人の名前が並んでいることに感動した。
ファンでない方からすれば「それがナニ?」なのだろうが、そんな声なんて聞こえないのがファン心理というもの。私はしばしそのお盆を見つめながら侍のテーマを聞いていたのだった。
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