2010年3月のある曇りの日。私とМさんは大久保通りにある不動産屋さんにいた。その日はおかあさん2店舗目となる「新大久保おかあさん」の事務所物件の契約日でМさんが新しく設立した会社が契約者、私は保証人として同行していた。
後日、無事に契約書と承諾書が出来上がると、それを持って二人で新宿署の生活安全課に届け出に行き、その日の午後からは歌舞伎町のホテルを全部歩いて、場所と料金体系を調べてまわった。
新しく借りた物件にテレビやカーペットを搬入し、カーテンの無い部屋で二人で一緒に缶コーヒーを飲んだ。天気の良い日でちょうど今日のような、少し春を感じる風が流れ込む空っぽの部屋を見回しながら、「やっとおかあさんも2店舗目か~」と、私はちょっと感慨深くМさんの横顔を見ながら思った。
別に2店舗目が出来たからといって、業界的に言えばそんな大層なことでは無いのだが、ド素人同士で悪戦苦闘しつつ池袋でやっていたおかあさんがもう1店舗出せるようになったことは、業界に入って初めて味わう目に見える成功体験のような気がした。
オープン当初は、人手が足りない時はアライさんが助っ人に行ったり、夜に女性が足りない時は池袋女性にお願いしてタクシー飛ばして新宿に行ったりと、いろいろあったものだ。が、次第に濃いおかあさん達が集まってきて(オカンもそのひとり)何とかお店の体を成してきた。
時々事務所に顔出すと、みんなでご飯を作って食べていたり、Мさんも一緒に待機で和んでいたりと、池袋とは全く違うアットホームさを感じたものだ。(お客様が少ないオープン当初に自炊する、というのは横浜オープンの時に真似をした)
さて想い出話はそろそろ切り上げるとして。今では「新宿・新大久保おかあさん」となったジュクオカが来月1日でオープン6周年を迎える。このお店はホントに色々とあったのだが、いろんな意味で他のおかあさんにとって糧となるような出来事をたくさん産んでくれたので、ちょっとヤサぐれた次男坊のように可愛い大事なお店に感じている。
お店にとって、実際に身銭を切って遊んで下さった全てのお客様のお蔭で、今まで運営できたことは疑いようのない事実だ。また、働いてくれた全ての女性達のお蔭で今のお店がある、ということも間違い無い。たとえトラブルがあって辞めてしまった女性でも、お店にとってひとつ経験を積ませてもらった、と考えれば大事な一人に思える。
「自分の誕生日は産んでくれた母に感謝する日」という言葉があるように、お店の誕生日には今までお店に関わり育てて下さった全ての方への感謝を思い出す日にしたい。そんな気持ちを込めて周年イベントはお客様、おかあさんたちに笑顔で接して行こうと思っている。
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