人に対して土下座をしたことが今まで一度だけある。
25の時、3年務めていた電器店を辞めた時だ。社長はじめ先輩方や、すっかり馴染みになったお客様達に良くしてもらっていたのに、私の個人的な感情で辞めることにした時、流石に何も言い訳できず社長の前で土下座した。
辞めようか、と考え始めた日のことははっきり覚えている。下宿の隣に住んでいた大学の後輩が「オレ、今の仕事辞めて保険会社に入ることにしたんス」と彼の部屋で酒を飲んでいる時、テレビ画面の方を向いたまま言ったのだ。今いる会社だと将来的にも厳しいし、もっと収入を増やしたい、という意味の理由を聞いて、何だかオトコとして負けている自分を感じた。
私はそれまで電器店を辞めることなど考えたことも無かったし、仕事の将来性や自分の収入がどうこうも考えたことが無かった。ただ日々お客様のところをまわって商品を配達したり電気工事をすることが楽しく、ずっとそのままでいることに何の疑問も持っていなかった。
辞めようかな、と思い始めて3日目に社長に話したのだが、その3日間の仕事は急に身が入らなくなった。ちゃんと仕事はしたのだが、昨日までのようにVA線を触っても、ソニーのプロフィールを触ってもワクワクしなくなったのだ。
社長は優しく受け入れてくださり、何も言わず退社を認めてくれた。が、その時の社長の気持ちを今もう一度考えてみると…心が傷む。土下座はやっぱり卑怯な手段だ。アタマを地に付けているので会話すら拒絶している格好だし、いきなりだと何だか土下座された方が悪いことをした気になる。そんなことをされた後に何も無かったかのようにどんな会話をすれば良いのだ。
今、一応シャチョという立場になってもしもスタッフがいきなり土下座してきたら…いやいやそんなことはあり得ないだろう。余程の失態をしでかしたとしても無い。
こちらの都合だけで、一瞬で相手との関係性をねじまげてしまう行為をしてしまった若い頃の自分を思うと今でも胸が傷む。言いたいことがあるなら、どんなに言いにくいことでもちゃんと相手の目を見て言うべきだ、ということで今日はここまで。
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