新宿・新大久保おかあさん

先日某大型電気店に炊飯器を買いに行った。知り合いの同業店長が引っ越したとのことでねだられたのだ。ま、良くあることだ。

もう20年以上前だが3年ほど小さな電器店で働いていたので（まだIH炊飯器が出始めの頃）多少は電気製品を選ぶ眼は持っているつもり。そんなひとりよがりの自信に頼って、機能＆フォルムもこれが一番良いだろうと思う1点に決めフロアの担当にお願いした。

配送先と発送元を伝えて配送手配が終わったら精算カウンターに行ってお金を払うだけの手順でいつもなら5分もあれば完了するのだが、プリンタの不良なのか、その若い女性スタッフの入力不備なのか、配送処理が終わるまで15分以上待たされた。途中で白髪のベテランスタッフも心配になって駆けつけ、何とか原因が分かったらしくやっと配送伝票を渡され「こちらを精算カウンターまでお持ちください」と精算シートを手渡されたのだが。

研修中の若いオネエちゃんだしミスもある。機械なのでプリンタ不良も起こりうるだろう。それで待たされるのは別に何ともないのだが、待っている間一言も「すみません」もなく状況説明も無く、ただパソコンと悪戦苦闘しているだけの姿に「これで良いのかな～」とちょっと思ったのだ。駆けつけたベテランスタッフからも一言も無し。こちらの顔すら見ずにパソコンとプリンタに向き合っている。沢山のスタッフが同じフロアで働いているので別に自分一人の接客でお客様が増えることもない、と思うスタッフがほとんどだろうとは思うが、それでも同じモノを買うならちゃんと人に向き合ってくれるスタッフがいる店でお金を使いたくなるのがお客様というものだ。

私がいつも行くコンビニも、ある一人のスタッフがいつも気持ちよく接客してくれるから通っている。オバちゃん（ショートカットで小柄。別にタイプでは無い）なのだが笑顔が良いのと、声をしっかりと出していつも元気に仕事をしている姿が断然他のスタッフより輝いて見えるのだ。コンビニなんてどこで何を買っても大差がないが、独り家に帰る時にカゴにビールを放り込んでレジに持っていくなら輝いている店員がいるお店で買いたい。それだけで独り風呂上りに飲むビールの味も変わる、人の気持ちってそういうものだ。

この季節は暑いし引っ越しに向いてないと思うのだが、なぜかまた今度はウチの若いスタッフが来月頭に引っ越しをすることになったそうだ。彼には冷蔵庫をねだられているのだが今度は違う量販店で買うことにする。あの時あのスタッフがちょっとでもこちらを向いて「すみません」の一言があればそのまま冷蔵庫も選んでいたハズだがそれはもうない。商売している側はその見えない取りこぼしに対する怖さをいつも持っていなくてはならないな、と思った出来事だった。

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